印材を比較する上で、一般的によく下の様な比較表が あります。 耐久性を比較するには、極めて重要なポイントです。 しかし、この比較表は本当にそうなのでしょうか? 山榮堂では、この比較表の徹底検証するべく、実際にテストをしてみました。はたして、象牙は他の印材に比べて本当に優れているのでしょうか?
印 材 別 重 要 ポ イ ン ト 強 度 表 | ||||
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印材種類 | つ げ | 黒水牛 | オランダ水牛 | 象 牙 |
強度・硬度 | ✖ | ○ | ○ | ◎ |
防 虫 性 | ○ | ✖ | ✖ | ◎ |
びび割れ度 | △ | ✖ | ✖ | ◎ |
堅さは、永年にわたり印影を維持するために、とても大切な要素です。 少々あらっぽいやり方ですが、一番わかりやすい方法で、象牙の堅さを 比較してみましょう。 やり方はいたって簡単です。 印面部分(文字を彫刻する平らな箇所)を、比較する相手の印材に押し当ててみます。
角の部分は、印鑑になった時に一番欠けやすいワクになる部分です。 ここが簡単に凹んでしまっては 強度は弱いと言う事になります。比較するのは代表的な4種類の印材です。写真 〇 の箇所が注目箇所です。
いかがでしたでしょうか?もう説明は不用ですね。一目瞭然です。 これで、象牙の強度は実証されたと思います。但し、強度の高い象牙でも、コンクリートの床に落としてしまっては、ワクもかけてしまう恐れがございますので、ご注意下さい。
さて、次にみていきたいのは永年経過すると、どのように変化していくのか気になるところです。 永年経過するのに一番注意したい点は、「防虫性」と「ひび割れ」になります。
これらの評価は本当なのでしょうか?また、そのような症状がでた印材なんてあるのでしょうか? それが実際にあるのです。下の写真をご覧ください。
黒水牛の場合、乾燥をとても嫌い、長い間手入れをせずにしまい込んでいるとこのようにヒビが入ってしまいます。 これは柄や木目のようなものではなく、さらに悪化すると原型をとどめないほど劣化していく可能性がございます。 ひび割れが印面部分に到達すると、綺麗な捺印が出来なかったり、場合によっては、ワクが欠けたりします。
この黒水牛は、虫に食われてしまった印材です。 衣類を喰う虫によるもので、この印材だけだ特別なった訳でなく、水牛系の場合は知らないうちにこのような状況になる可能性が、他の印材と比べて非常に高く注意する必要がございます。 印面部分が虫食いにあうと、もう使えなくなってしまいます。
すべてがこうなるわけではありませんが、安くても永年使えると思って購入した印鑑が、これでは残念ですね。
象牙は誰しもあこがれの印材です。 新品の象牙は、見るほどに魅力を増し手に取った時の重量感と存在感は、他の印材を圧倒します。いつかは象牙の印鑑を手にしたいものです。
いかがでしょう、この妖艶なツヤと輝き。
何年も大切に磨き上げると、芸術品とも言える深みが出てきます。
これは象牙印鑑を持った人だけが味わえる至福の逸品です。象牙の良さはわかりました。
そんな疑問にお答え致します。
象牙は、過去には自由に輸入出来ていたのですが、 一部の心ない密猟者による乱獲が問題となり、ワシントン条約(CITES)の締結で 残念ながら1989年より輸入禁止となりました。
しかし日本の場合、政府の管理下で一本一本にシリアルナンバーを付ける事により徹底したナンバリング管理してきた結果1999年に特例として一度、輸入されました。その後は2008年にもう一度輸入されたのですが、いずれも自然死した象より採取した象牙のみの輸入でございます。(一部Wikipediaより引用) そして当然、一本一本違いがございます。その違いはどのようになっているのでしょうか?
いっけん全部同じように見える象牙でも、実はそれほど価値がない象牙であったり、滅多に出会う事のない逸品であったり、それは天然素材ゆえに違いがございます。 その違いを、山榮堂は細分化する事により、お客様に安心してお選びいただくことが出来るようになりました。
まずはコチラの写真をみてください。
ちょっとわかりずらいかもしれませんが、象牙にうっすらと網目のような筋がご確認いただけると思います。象牙の良し悪しの見分け方の一つに、この筋の細かさである程度判断出来ます。 荒いとランクは低く、細かいとランクは高い。繊細な仕事だけに重要なポイントです。 本当に良い象牙印材は、このキメがまったくない「目無し」というランクもございます。
下の図は、象牙の側面と断面になります。
通常のはんこ屋さんの場合、象牙のランクは3ランク。 多くて4ランク程度でございます。 山榮堂では、より厳密にランク分けするため通常の倍の、 8ランクに分類し、さらに下位2ランクは印鑑には不向きな粗悪材として一切使用していません。 象牙展開図をご覧ください。(右側写真をクリック) 象牙を輪切りにした場合おおまかにこの様にランク付け されます。
そして、あまりにも酷い筋の荒らさは、細密を求められる印鑑には不向きになるのです。 いかがでしょう? これだけでも、かなりの優劣がある事がおわかりいただけると思います。 まだ、他にも「色目」や「ハードとソフト」の違いなどチェックすべき点は数多くございますが、 山榮堂の象牙印材はすべての厳しいチェック項目をクリアーした印材のみを使用しております。 それでも良い印材が入荷しない場合の、山榮堂の対処法は・・・。
そうです。入手するまで徹底的に探します。 通常は専門問屋に依頼をして厳選するのですが、それでも納得の いく印材が入手出来ない場合は、象牙印材を問屋の収めているその先のメーカーへ直談判に行きます。 次のページは、店頭へお越しいただきましたとあるお客様からのご注文で、最高級印材を探しに某メーカーへ訪れた時の画像です。 真っさらの象の牙から印材に加工されて行く様子がご覧いただけます。 象牙原木から印材にまで加工してもらう。ここまで無理が言えるのは、長年の実績と信頼関係により 出来る事で一般の小売店では、まず不可能だと思います。とても貴重な画像ですので、是非ご覧下さい。
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