そして最後はやはり彫刻と文字(印影)です。 人形は顔が命ともいいますが、印鑑は印面(文字)が命です。 どれだけ良い象牙の印材であっても、何も彫刻されてなかったり、 未熟な彫刻者やロボット彫刻では無意味。熟練の技術で印面に文字を彫刻 する事で、印鑑に息吹が吹き込まれます。 わたくし水谷有志は、印鑑彫刻の道に入ってから様々な展覧会に作品を出品させていただき、お陰さまで数々の賞をいただいてまいりました。 その一部を紹介させていただきます。 是非、水谷有志が息吹を吹き込む 彫刻をご覧ください。
平成元年第37回大阪府印章技術展覧会
大会最高位 通商産業局長賞 受賞作品
「 雅 人 深 致 」 刻
さて、「印鑑の文字は難しくてよくわからない」と言われる方も多いと思います。 しかし、より細かい彫刻がされているというのは、一般の方でも見てわかりやすいと思います。 印鑑の技術を競う彫刻競技展覧会には「密刻」という部門がございます。 彫刻士 水谷有志は、お陰様で彫刻競技展覧会において数々の賞を受賞することができました。 どんなに細かい彫刻でも、思い通りに仕上げる事が出来る技が、今、象牙の印鑑を彫刻するのに、生かされているのです。
それでは、印材として最高の象牙に息吹を吹き込み彫刻工程をご紹介させていただきます。手間暇を惜しまず、頑固なまでに手彫りにこだわり続けて創業1911年(明治43年)より2011年で100年を越えて親子4代で続けてきた行程です。
仕入れたばかりの印材は、厳密に言うと平らではないため 軽く面刷りをします。長年の技で、印面を擦るだけで真っ平ら か違うかがわかるようになります。
ベースになる朱墨を均等に打ち付けます。(着塗)
罫描きにより、字入れ前にある程度文字の割付をしておきます。 出来上がりをイメージしながら墨と筆で印面に直接逆文字を入れていきます。
墨と朱墨を使い、微調整をしながら細かい部分を仕上げていきます。字入れが完成いたしました。さて、次はこの朱色の部分を削り取る、粗彫りの作業です。
有志のこだわりは道具にもあります。良い道具無くして良い印鑑は彫れず。いつでも、 すべて完璧な状態を維持しています。 彫刻作業には、細刃の1号刀から太刃の5号刀までの印刀を巧に操り 彫刻していきます。刀の切れは、印鑑の仕上がりにも影響してきます。
字入れの完了した印面を彫刻していきます。 印材を篆刻台に挟み、あて木を使い刻み込んでいきます。粗彫りのポイントは字入れの文字に、より忠実に刻む事です。
不要な部分をすべて刻んだらもう一度面刷りです。
そして仕上げのために墨打ちをします。 墨打ち一つで捺印の善し悪しも 決まります。 こんな些細なところにも職人技が生きるのです。
この仕上げ作業が最終的な出来上がりを左右します。 作業には、『仕上げ刀』という印刀を使用します。熟練された技が、象牙の印面に息吹を吹き込んでいきます。
堅い象牙印材ですが、刀の切れ味には自信があります。最終的には印面(文字)が印鑑の命です。 仕上げ次第で決まります。
徐々に文字が浮かび上がってきました。
この仕上がりが、象牙という印材の良さを100%引き出します。
鑑定書は手書きにて作成いたします。
精神統一して鑑定書に最初の捺印をします。
もちろん綺麗に捺すにはコツがあります。 プロが捺すとこう出来ます。
鑑定書も出来上がり、保証書を付けてすべての作業が完了です。 お待ちになっていますお客様に納品させていただきます。
昭和61年第34回大阪府
印章技術展覧会大会・密刻
金賞受賞作品「冬扇夏鑪」刻
昭和61年第34回大阪府
印章技術展覧会大会・認印実印
金賞受賞作品「高畑隆・翠石」刻
昭和62年第35回大阪府印章技術展
覧会大会金賞 大印理事長賞
受賞作品「菊有精神」刻
平成元年第37回
大阪府印章技術展覧会
大会最高位 通商産業局長賞
受賞作品「雅人深致」刻
平成20年第56回大阪府
印章技術展覧会大会・篆刻
近畿経済産業局長賞
「瀬是眞」刻
平成 4年第9回
全日印連技術大競技会
銅賞受賞作品「物外遊」刻
平成16年第15回
全国印章技術大競技大会銅賞
三圭社賞「蝉蛻」刻
平成18年第16回
全国印章技術大競技大会金賞
全日本印章業組合連合会長賞
W受賞 「長楽葉極」刻
【掲載の記事・写真・イラストなどの無断複写・転載等の一切を禁じます】